店舗経営とは?運営との違いは?店舗経営を始めるまでの流れや成功のポイントなど

Red Heart Icon2
更新日:2024年07月10日

「いつかは自分のお店を持ってみたい」という夢があり店舗経営に興味を持っていても、実際のところ店舗経営とは何か、店舗経営を始めるにはどのような準備が必要で何から始めれば良いのかなど詳しくは分からないという方もいらっしゃると思います。

また、現在店舗を経営している方で、どのように利益を上げていけば良いのかなど課題を抱えている方もいらっしゃることでしょう。

そこで今回は、店舗経営の意味や店舗運営との違い、店舗運営を始めるためのステップや成功ポイントなど、店舗経営に関する情報をまとめてご紹介します。

店舗運営が成功した際に検討をおすすめしたい多店舗(複数店舗)展開についても解説していますので、気になる方はぜひご一読ください。

店舗経営とは?

店舗経営とは、お店を営んで収益を上げるための仕組みづくりのことです。

自分のお店を開業したとしても、利益が出なければ店舗で販売する商品の仕入れはもちろん、スタッフへの給料や経営者の生活費さえも賄うことができません。

そのため、経営者は安定した収益を得られるように利益を上げやすい商品・サービスや効率的に利益を生み出す方法などを考えて、仕組み化していくことが必要です。

具体的には、店舗のコンセプト考案や事業計画書作成、資金調達、営業活動、資金繰りなどが店舗経営の例として挙げられます。

店舗経営と店舗運営の違い

店舗経営と似た言葉で店舗運営があり、どちらも同じ意味なのではと思われる方も多いと思いますが、実際は「目的」に違いがあります。

項目

意味

店舗経営

店舗を経営して収益を上げるための仕組みをつくること

店舗運営

経営者の方針や仕組みを基に、効率的に店舗の営業業務を行うこと

店舗経営は収益化を目的としている一方で、店舗運営は収益を上げるためにつくられた仕組みや機能を効率的に発揮させることを目的としています。

また、店舗運営は日々の業務を効果的に実行することに焦点を当てており、売上管理や在庫管理、仕入れ、スタッフの管理、顧客対応、店内のレイアウト変更などが具体的な業務です。

店舗経営を始めるための10ステップ

店舗経営を成功させるためには、計画的な準備が不可欠です。

ここからは、店舗経営を始めるための10ステップをご紹介します。

  • 事業計画やコンセプトを策定する
  • 市場調査や商圏調査を実施する
  • 資金を調達する
  • 店舗物件を探し契約する
  • 店舗の内装・外装を整備する
  • 商品調達・メニュー開発をする
  • マニュアル作成・オペレーションを決める
  • 各種届出を行う
  • スタッフの募集・採用を行う
  • 宣伝・集客を行う

①事業計画やコンセプトを策定する

店舗経営を始めるにはまず、事業計画やコンセプトを策定します。

ビジネスの方向性を決める非常に大事なステップなので、しっかり作り込むことが必要です。

事業計画はビジネスのアイデアや方法、手順をまとめるもので、店舗名や所在地といった基本的な情報から、ビジネスモデル、商品・サービスの強みや特徴、事業の短期・中期・長期の具体的な目標、開業資金の調達方法や資金計画、収支計画などを文章化していきます。

コンセプトは何を売るのかをはじめ、誰にどのような価値を提供するのか、どのような方法で提供するのかを明確にするものです。

事業計画やコンセプトが決まると、店舗の雰囲気(内装)や商品・サービス、営業時間、マーケティング方法なども決めやすくなります。

​②市場調査や商圏調査を実施する

次のステップとして、市場調査や商圏調査を実施します。

市場調査は市場の状況や動向を把握するための調査で、顧客ニーズや店舗で提供する商品・サービスの強みの理解、競合との差別化を図るために必要です。

商圏調査は店舗経営を行うエリアの特性や消費者動向を把握するための調査で、商圏(店舗に集客できる距離多岐な範囲)を定めてそのエリアの人口や交通量、競合店の有無などの情報を収集して多角的に分析します。

調査したエリアで店舗経営を始めた場合にどのくらい集客ができるか、いくらくらいの売り上げが上げられるかなどが予測できるので、集客施策や店舗経営の改善に役立てることが可能です。

市場調査や商圏調査は調査会社に依頼することもできるので、対応が難しい場合は検討してみるのも良いでしょう。

③資金を調達する

店舗経営を始めるには、十分な資金調達が必要不可欠です。

資金がなければ物件の準備はもちろん、設備導入や営業活動、スタッフの雇用など、必要な準備を行うことができません。

店舗経営のための資金調達方法としては、以下が挙げられます。

  • 自己資金
  • 金融機関からの借り入れ
  • 補助金・助成金
  • クラウドファンディング

どのくらいの資金が必要になるのかにもよりますが、一般的には自己資金と金融機関からの借り入れで資金を調達することが多いです。

実際に、日本政策金融公庫の「2023年度新規開業実態調査」によると開業時の資金調達額は平均で1,180万円。

そのうち金融機関からの借り入れが平均768万円(65.1%)、自己資金が平均280万円(23.8%)を占めることが分かっています。

ほかにも、国や自治体などが実施している補助金・助成金を活用して開業資金に充てる方法や、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集めるクラウドファンディングという方法も有効です。

日本政策金融公庫『2023年度新規開業実態調査』を参照

④店舗物件を探し契約する

資金調達の目処が立ったら、店舗物件を探して契約しましょう。

良い立地にある店舗物件は集客力が高く、売り上げの向上につながります。逆に不適切な物件を選んでしまうと、集客に苦労して店舗経営が厳しくなる可能性があるので要注意です。

どのように店舗物件を探せば良いのか分からないという方は、下記のポイントを参考にしてみてください。

  • ターゲットとする顧客にとってアクセスしやすい場所を選ぶ
  • 周辺に競合店が少ない場所を選ぶ
  • 予算や収支計画に合った賃料の物件を選ぶ
  • 大規模な設備導入や内外装工事、修繕の必要性がない物件を選ぶ

実際に物件がある場所に出向き、周辺の視察や内見を行った上で契約することをおすすめします。

また、店舗物件の契約をする際には賃料や契約期間、更新条件など、契約内容をしっかりと確認して必要に応じて交渉するようにしましょう。

⑤店舗の内装・外装を整備する

店舗物件が決まったら、内装・外装を整備しましょう。

店舗の内装・外装は、顧客の第一印象を左右する重要な要素です。魅力的な店舗デザインは集客力を高め、リピーターを増やす効果もあります。

内外装は店舗のコンセプトに合わせて行う必要があり、統一感のあるデザインにすることが大事です。

イメージに合った内外装工事ができるかを判断しやすくするために、依頼する施工業者の担当者と一緒に物件の内覧をしておくことをおすすめします。

⑥商品調達・メニュー開発をする

次に、商品調達やメニュー開発に取りかかります。

魅力的な商品やメニューは集客や競合との差別化を図るために必要です。また、顧客満足度の高い商品やメニューを提供することでリピーターを増やし、売り上げを安定させることができます。

商品の調達はまず、高品質な商品を安定して供給できる信頼できる仕入先を見つけましょう。

また、利益率を確保するための仕入れコストの適切な管理や、在庫の過不足を防ぐための需要予測に基づいた在庫管理も大事です。

飲食店などの場合、メニュー開発は市場調査やアンケートを通じて顧客のニーズを把握し、そのニーズを満たせるメニューを考案します。

新メニューは試作を繰り返し行い、スタッフなどのフィードバックを基に改良を重ねることが必要です。また、メニューの原価を管理し、適切な価格設定を行うことも忘れてはいけません。

⑦マニュアル作成・オペレーションを決める

店舗経営には、明確なマニュアルと効率的なオペレーションが欠かせません。

マニュアルとオペレーションは、店舗運営の標準化と効率化を図るための基本です。これにより、スタッフが迷うことなく業務を遂行でき、顧客満足度を高めることができます。

接客方法やレジ対応、備品管理・発注など店舗の運営方法に応じたマニュアル作成やオペレーションを決めることが必要で、実際に働く従業員の声や顧客の反応などを見て、より業務の効率化や顧客満足度の向上につながるマニュアル・オペレーションに改善していくことが大事です。

⑧各種届出を行う

店舗経営を始めるには、各種届出が必要です。これらの手続きを怠ると罰則を受ける可能性もあるため、注意しましょう。

個人で開業する場合には「個人事業の開業・廃業等届出書」をはじめ、税法上の制度を利用する場合に必要な届出があります。

法人で開業する場合は法務局での「法人登記」が完了した後に「法人設立届出書」などの提出が必要です。

ほかにも、カフェやレストラン、居酒屋、美容院、マッサージ店など店舗の業態・業種などによっても必要な許可や届出が異なるので、どのお店を始めるのかが決まった時点で必要な届出が何かを確認しておくことをおすすめします。

⑨スタッフの募集・採用を行う

店舗の規模や運営方法によっては、スタッフを雇う必要があります。

適切な人材を募集・採用することは店舗の運営を円滑に行うための大事なステップです。

具体的には、求人サイトや店舗の公式サイト、SNSなど、複数のチャネルを活用して幅広く募集を行います。

応募者にとって魅力的な求人情報を作成し、店舗の魅力や働きやすさをアピールしましょう。

募集を開始したらかと言ってすぐに応募があるとは限らないので、できるだけ余裕を持って準備することをおすすめします。

⑩宣伝・集客を行う

宣伝や集客は店舗経営を始める前から必要な準備です。

開業前から店舗の認知度を高めて、来店客数を増やす効果が期待できます。

近年は、チラシやDMなどアナログな方法だけでなく、SNSやWebサイト、メールなどのデジタルチャネルを活用して広範なターゲットにアプローチする方法が主流です。

複数の方法を組み合わせることで効果を上げることもできますが、やはりターゲットに効果的な方法を見極めることが大事だと言えます。

店舗経営のポイント

ではどのようなことを意識して店舗経営をすれば良いのでしょうか。

店舗経営は、大きく以下の二つのポイントを押さえることが大事です。

  • 利益を上げて安定的な経営を目指す
  • 長期的に継続できる経営を目指す

​利益を上げて安定的な経営を目指す

店舗経営においてまず大事なポイントは、利益を上げて安定的な経営を目指すことです。

店舗の存続に欠かせない要素で、利益を上げて安定させるためには以下のような方法が挙げられます。

  • 客単価を上げる
  • コストを削減する
  • SNSや口コミを活用した集客を強化する

客単価を上げる

利益を上げて安定的な経営を目指す方法として、客単価を上げることは非常に効果的です。

客単価を上げることで、同じ来店客数でも売り上げを増加させることができます。

客単価の上げ方としては商品・サービスの価格を上げることが一番簡単な方法ではありますが、理由もないまま単純に価格を上げると顧客離れが起こりさらに客単価が下がる要因になってしまうので注意が必要です。

ほかには、顧客が購入する商品に関連する商品を提案して追加購入を促す方法(クロスセル)、顧客が選んだ商品よりも高価格帯の商品の購入を促す方法(アップセル)、割引や特典を付けてまとめ買いを促す方法などがあります。

また、近年はキャッシュレス決済が主流になってきているので、クレジットカードや電子マネー決済などを導入することで顧客の利便性を高めるだけでなく、現金では購入しにくい価格の商品・サービスも購入してもらいやすくなるでしょう。

コストを削減する

コストを削減することも、利益を上げて店舗経営を安定させるための大事な要素です。

店舗経営におけるコストは、主に仕入れ費や人件費、店舗の賃料、水道光熱費、通信費、広告宣伝費、消耗品などが挙げられ、業種や運営方法によってもかかるコストの種類や割合も異なります。

たとえば飲食店を経営する場合は食材の仕入れや人件費、家賃が特に重要視されているコスト(FLRコスト)で、売り上げに対してFLRコストの比率を70%以内に抑えることが理想とされています。

コスト削減が商品・サービスの質の低下につながる危険性もあるので、店舗の営業に支障がない方法でのコントロールが必要になるでしょう。

SNSや口コミを活用した集客を強化する

SNSや口コミを活用した集客は低コストで高い集客効果を得られる方法なので、強化することで利益の向上にもつながります。

具体的には、InstagramやTikTok、X(旧Twitter)、Facebookなどに店舗の魅力を伝える写真や動画を定期的に投稿する、食べログやGoogleマイビジネスなどの口コミサイトに積極的に情報を掲載し、顧客からのレビューを促進するなどです。

ほかにも最近では影響力のあるインフルエンサーに店舗を紹介してもらうことで、幅広いターゲット層にアプローチするという方法もあります。

​長期的に継続できる経営を目指す

長期的に継続できる経営を目指すことも店舗経営において大事なポイントで、具体的には下記のような方法があります。

  • 顧客にリピートしてもらうための取り組みを実施する
  • 業務の効率化を図る
  • スタッフの教育・オペレーション最適化を行う

顧客にリピートしてもらうための取り組みを実施する

顧客のリピート率を高めることは継続して売り上げを上げていくための重要な要素で、リピーターが多いほど経営も長く続けられます。

顧客にリピートしてもらうための取り組みとして挙げられるのは、居心地の良い店舗づくりをはじめ、商品・メニュー・サービスの改良、ポイントカードやメンバーシッププログラムの導入などです。

SNSやメールを活用して、顧客と定期的にコミュニケーションを取ることも大事だと言えます。

業務の効率化を図る

業務の効率化は、業務の負担やコストを削減して長期的な店舗経営を可能にします。

具体的な例として挙げられるのは、在庫管理システムや自動釣銭機能付きのPOSシステムなどのデジタルツールを導入することです。

人手と時間をかけて行っていた作業が減り、さらに人員的なミスも減って業務がよりスムーズになるでしょう。

また、業務フローを定期的に見直し、無駄な作業や重複している作業をなくすことも大事です。

スタッフの教育・オペレーション最適化を行う

スタッフの教育とオペレーションの最適化は店舗の運営効率と顧客満足度を上げることができ、ひいては長期的に継続できる店舗経営につながる有効な手段です。

新しく加わるスタッフでも同じクオリティの商品・サービスが提供できるように、各業務の内容や方法を明確にしたマニュアルを作成しておきましょう。

また、新しい業務やシステムの導入時に限らず、定期的にスタッフへのトレーニングを実施することが大事です。これによってスタッフ全員が最新の知識とスキルを持ち続けることができます。

店舗運営に必要な作業の手順や人員配置などを決めるオペレーションも定期的に見直して最適化を図ることで、円滑な店舗運営や顧客満足度の高い商品・サービスの提供につながるでしょう。

成功した場合に視野に入れたい多店舗経営

店舗経営が成功したら、多店舗経営を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

複数店舗を経営することは、全体の売り上げの増加と認知度の向上などにつながります。

既存の店舗が安定して利益を上げている場合、ほかの地域でも同様の成功を収められる可能性があるので、これからご紹介するメリット・デメリットを確認した上で検討してみてください。

​多店舗経営のメリット

多店舗経営には、下記のようなさまざまなメリットがあります。

  • 知名度がアップする
  • コスト削減しやすい
  • 従業員の意識が向上する
  • トラブルに対処しやすい
  • 企業の安定性を確保できる

知名度がアップする

店舗数が増えると人目に触れる機会も増えるため、より多くの人の興味を集められます。

特に同じエリア内に複数店舗を出店する場合は、地域住民の間で口コミが広がりやすく、派手な広告を出さなくても集客が上手くいきやすいです。

また、いくつもの店舗を展開できるということは「商品やサービスの質が担保されている」というアピールにもなり、お客様に安心感や信頼感を与えられます。

コスト削減しやすい

店舗が一つだけの場合と比べて、多店舗経営はコスト削減できるポイントが多いです。

例えば食材や部品を複数店舗分まとめて一括購入すれば、仕入費を通常より低価格に抑えられる可能性があります。

また、従業員の店舗間移動ができる点も多店舗経営の強みでしょう。

従業員が足りない店舗へ別店舗から応援を派遣することで、新しい従業員の採用や育成にかかる費用を削減できます。

従業員の意識が向上する

店舗数が増えると従業員数も多くなるため、それぞれの従業員に「店長」や「新人教育係」などの役職を与えやすくなります。

役職を与えることは責任感を芽生えさせることにもつながり、従業員それぞれの意識を向上させる効果が期待できるでしょう。

また、従業員の店舗間移動を定期的に行うことで、従業員が新たな学びや気づきを得やすいのも多店舗経営ならではの魅力です。

トラブルに対処しやすい

一店舗目で培った経験や知識は、二店舗目以降の開業で活かせます。

開業時に待ち受けている苦労をすでに理解しているため、二店舗目では一店舗目よりスムーズに開業できるケースが少なくありません。

また、店舗運営におけるトラブルが起きたときは、解決方法をほかの店舗の従業員と相談・協力しながら解決できる点も多店舗経営のメリットです。

企業の安定性を確保できる

一つしか店舗を所有していない場合、その店舗の経営が悪化すればオーナーの収入が大きく下がります。

しかし、複数店舗を所有している場合は、一つの店舗の業績が悪化してもほかの店舗でカバーできる可能性があります。

収入が急激に下がるリスクを避けるためには、多店舗経営でリスクを分散させるのも選択肢の一つでしょう。

​​多店舗経営のデメリット

多店舗経営には上記のようなメリットがありますが、以下のようなデメリットも存在します。

  • 初期費用が増える
  • 経費のコントロールが難しい
  • 店舗管理が負担になる
  • 人材の確保・育成の手間がかかる

将来的に店舗数を増やしたいと考えている方は、デメリットについても理解を深め対策を練ることが大切です。

初期費用が増える

店舗数が増えれば、開業準備にかかる初期費用も増えます。

開業する業種にもよりますが、飲食店であれば工事や厨房設備の購入などで1,000万円を超えることも珍しくありません。

そのため複数店舗の開業を考えるときは、どのくらいの期間で初期費用を回収できるのか綿密な資金繰り計画を立てることが大切です。

経費のコントロールが難しい

多店舗経営では仕入費や人件費を削減しやすい一方、経費が大幅に増えてしまうリスクにも備えなければいけません。

たとえば海外から食材や部品を仕入れる場合、情勢の悪化などで急に仕入費が値上がりする可能性があります。

仕入費が値上がりすると全店舗の経費が増えてしまうため、一店舗のみ運営する場合と比べてダメージは大きくなるでしょう。

店舗管理が負担になる

管理する店舗が増えることで、オーナーの負担も増えます。

それぞれの店舗に合わせて売り上げ目標を考えたり単価を設定したり、多店舗経営では店舗別の戦略を練らなければいけません。

そのため仕事量が増えるのはもちろん、オーナーの経営手腕が問われることも覚えておきたいポイントです。

人材の確保・育成の手間がかかる

店舗を増やすときは新たに従業員を採用する必要があり、募集広告を出したり面接を実施したりといった手間が発生します。

また採用した後は、従業員に店舗オペレーションを教育する研修期間が必要です。

従業員の採用と育成にはそれなりの期間を要するため、「従業員が揃わず開業日に間に合わない」という事態が起こらないよう、募集や研修は余裕を持って取りかかりましょう。

二店舗目の出店に踏み切るためのタイミングは?

二店舗目を出店するタイミングとしては、下記の点を指標として検討してみてください。

  • 一店舗目が安定していること
  • 資金に余裕があること

二店舗目を開業するにあたり、一店舗目の経営状態が良好であることは絶対条件です。

さらに経営状態だけでなく、オーナーがいなくても店舗が回るように従業員の育成を済ませておく必要があります。

また、二店舗目を出店する資金的な余裕があることも重要なポイントです。

自己資金に余裕があることはもちろん、融資や助成金の審査が通るかどうかも必ず考えましょう。

以上の2点を確認してから、二店舗目の出店に踏み切るのがおすすめです。

多店舗経営の代表的な方法

多店舗経営を始める方法はいくつかありますが、代表的なものとしては「直営店方式」と「フランチャイズ方式」の2つが挙げられます。

こちらではそれぞれの特徴を紹介しているので、どちらの方式が自分に合っているのかぜひ考えてみてください。

​直営店方式とフランチャイズ方式の違い

直営店とは会社が直接管理する店舗のことを指し、フランチャイズ店とは自社以外の人材にオーナーを任せて運営する店舗のことを指します。

下記は、多店舗経営における直営店方式とフランチャイズ方式の違いをまとめた表です。

項目

直営店方式

フランチャイズ方式

開業資金

自分で調達する

加盟店のオーナーが調達する

従業員の雇用

自分で雇用する

加盟店のオーナーが雇用する

店舗オペレーション

自分たちで実施する

加盟店のオーナーが指揮を執り実施する

利益

店舗の売り上げから

加盟店のロイヤリティから

ノウハウの構築

自分で柔軟に構築できる

本部のノウハウをそのまま利用する

直営店方式は店舗売り上げをすべて自社の利益にでき、経営方針やマニュアルを柔軟に変更しやすい点がメリットです。

一方、開業資金が高くなりやすく、スピード感を持って店舗数を増やせない点がデメリットでしょう。

フランチャイズ方式は加盟店のオーナーが開業資金を負担するため、少ないコストでスピーディーに店舗数を増やせる点がメリットです。

主なデメリットとしては、収益が売り上げ全額ではなく加盟店から支払われるロイヤリティのみとなってしまう点が挙げられます。

多店舗経営を成功させるためのポイント

こちらでは、多店舗経営を成功させるポイントを5つ紹介します。

多店舗経営では新規店舗の準備を万全に整えることはもちろん、既存店舗のフォローも重要な鍵となることを忘れないようにしましょう。

  • 既存店舗の分析を忘れない
  • 出店エリアを慎重に選ぶ
  • 曖昧な事業計画を立てない
  • 現実的な資金繰りを考える
  • 既存店舗の従業員教育を済ませておく

既存店舗の分析を忘れない

二店舗目の出店前に、一店舗目を必ず分析するようにしましょう。

一店舗目が成功(または失敗)した要因を分析し、成功要因は次回の店舗でも活かすこと、失敗要因は改善策を考え対策を練ることが大切です。

また店舗オペレーションのマニュアルなどは、現場の従業員に意見を聞いて内容をブラッシュアップすることをおすすめします。

既存店の知識や経験をそのままにせず、ほかの店舗の運営にも積極的に活用しましょう。

出店エリアを慎重に選ぶ

多店舗経営において、売り上げに大きく影響するのが出店先エリアの選定です。

たとえば似たようなコンセプトの店舗を出店する場合、店舗同士が同じエリアにあると互いが競合となり、結果として両店舗の売り上げが伸び悩む可能性があります。

逆に各店舗の距離が遠すぎてしまうと、店舗間の移動に時間がかかり管理が難しくなるでしょう。

そのため二店舗目以降の出店では、出店エリアの調査と各店舗の距離を検討することが大切です。

曖昧な事業計画を立てない

一店舗目の開業が成功すると、二店舗目以降の出店では事業計画が甘くなりやすいため注意してください。

「一店舗目が成功したから大丈夫」と油断せず、資金の計算やターゲット層の選定、お店のコンセプトなどの事業計画を徹底して練ることが重要です。

また、事前に事業の撤退ラインを決めておく必要もあります。

新規店舗の経営に失敗したときは、潔く早めに撤退したほうが既存店へのダメージを小さくできるでしょう。

現実的な資金繰りを考える

多店舗経営を成功させるためには、現実的な資金繰りを考えることが必要です。

飲食店などは開業資金だけで1,000万円以上かかることがあるので、その資金をどこから調達するのか、そしてどのくらいで返済できるのかをしっかりと計算しましょう。

また一店舗目の開業では金融機関から融資を受ける経営者が多いですが、二店舗目以降も同じ金融機関が協力してくれるとは限りません。

そのため資金面で不安がある方は、フランチャイズ方式で店舗を展開し開業資金の負担を減らすのも一つの方法です。

既存店舗の従業員教育を済ませておく

新しく店舗を出店すると、経営者は既存店舗へ費やせる時間が減ります。

そのため多店舗経営を始める前に、既存店の従業員教育を済ませておきましょう。

また、トラブル時の対応を事前に周知しておくなど、経営者が不在でも店舗が問題なく回る仕組みづくりを済ませることも重要です。

まとめ

店舗経営を始めるには計画的かつ万全な準備が必要で、さらに店舗を開業してからが本番です。

自分のお店を持てたことに満足することなく、今回ご紹介した「利益を上げて安定的な経営を目指す」「長期的に継続できる経営を目指す」というポイントと具体的な取り組み方を押さえて、効果的な店舗経営を実現させましょう。

店舗経営ができるおすすめフランチャイズ!

店舗経営を実現する方法の一つとして、フランチャイズビジネスという選択肢もおすすめです。

フランチャイズは、すでに成功しているビジネスモデルを利用できるためリスクを軽減しながら店舗経営を始めることができます。

また、フランチャイズ本部からのサポートや研修制度も充実しており、初心者でも安心して店舗運営を行うことが可能です。

PRONTO

「PRONTO」は、昼はカフェ、夜はバーとして営業する店舗経営を行うフランチャイズ本部です。

時間帯ごとの顧客層を広げ、多様なニーズに応えています。

「PRONTO」は全国展開している有名なカフェで、その知名度と信頼性を活かした店舗経営が可能。

加盟店に対するサポート体制も充実しており、メニュー開発やプロモーション活動も本部が支援するので安心です。

太陽のトマト麺

「太陽のトマト麺」は、トマトスープをベースにしたラーメンを提供する店舗を手掛けるフランチャイズ本部です。

デリバリーやテイクアウト、冷凍食品と幅広い販売方法に対応することで、老若男女問わず人気があります。

フランチャイズでありながら、オーナーの希望を反映した自由な店舗デザインが可能。

調理オペレーションも簡単で職人も不要なので、人件費を抑えた飲食店経営が実現できます。